| 建夫: |
「今日は伊藤さんが来る日だったよな?何時に来るんだ?」 |
| 建代: |
「7時半って言ってたよ。」 |
| 建夫: |
「そっか・・・今日は土地の図面を持ってきてくれるんだったよな。ちゃんとメモに書いてあるぞ。」 |
| 建代: |
「そんなことで威張らないでよ。子供じゃあるまいし・・・それにその割には時間のことは何にも書いてなかったじゃない!」 |
| 建夫: |
「んぐぐぐぐ・・・」 |
「ピンポ〜ン!」
|
建夫: |
「おっ来た来た!はい。どうぞ。」 |
| 伊藤: |
「伊藤です。こんばんは。」 |
| 建代: |
「いらっしゃいませ。遅くにわざわざありがとうございます。」 |
| 伊藤: |
「いえいえ・・・早速こちらをご覧下さい。」 |
| 建夫: |
「何これ?住宅地図みたいなもんだね。」 |
| 伊藤: |
「はい、これはモデルハウスのある○条○丁目付近の土地の図面です。黒く塗りつぶしているところは既に売れてしまった場所で、この黄色い枠で囲んである部分の中から土地を選んでいただきます。」 |
| 建夫: |
「じゃ、それ以外のところは?」 |
| 伊藤: |
「はい、これらはまだ販売できる状態ではない土地なので、お選びいただくことはできません。」 |
| 建夫: |
「土地の広さと値段はどこかに書いてあるの?」 |
| 伊藤: |
「それは枠内の番号を見て、それぞれこちらの表に書いてありますのでそちらでご確認ください。だいたい館山さんの予算に見合った土地のみリストアップさせていただいております。」 |
| 建夫: |
「それはどうも・・・」 |
| 建代: |
「ねえねえ、私角地を考えていたんだけどこれ見てもどこにも角地ってないですよね?他にはないんですか?」 |
| 伊藤: |
「はい。やはり角地は人気もありますし価格も高くなってしまいますのでなかなかないんですよ。」 |
| 建代: |
「でもやっぱり角地がいいなぁ・・・なんかこれ見てても角地以外の場所ってごちゃごちゃしてるみたい!」 |
| 伊藤: |
「あのぉ・・・この図面で見るとそのように見えなくもないのですが、実際にその場所に行って見てみると意外と違った見え方になることもあるんですよ。」 |
| 建夫: |
「うーん、そうだな・・・どうだ、建代。明日休みだしちょっと見に行ってみないか?」 |
| 建代: |
「そうね。なんか納得できないかもしれないけど・・・ちなみにまだ販売できないって言ってたこの辺の土地はいつ頃になったら売れるようになるんですか?」 |
| 伊藤: |
「えーと・・・それは・・・うーん、場所によっても違うのですが、近いうちに区画整理が終わるところも出てくると思います。ただ、今この場ではちょっと分かりかねます。」 |
| 建夫: |
「じゃ、それ調べてみてください。」 |
| 伊藤: |
「分かりました。明日は何時頃現地に行かれますか?」 |
| 建夫: |
「えっと・・・午前中にはいけると思いますけど。」 |
| 伊藤: |
「では、私は午前中ずっとモデルハウスに詰めておりますので先にそちらに寄ってみてください。その時に調べた結果をご報告させていただきます。」 |
| 建夫: |
「分かりました。」 |
こうして、土地選びの一回目の打ち合わせはほとんど進展のないまま終わった。
|
| 建夫: |
「伊藤さん、なんかがっかりして帰っていったぞ。」 |
| 建代: |
「でもやっぱり角地のほうがいいんだもん!資金的に無理って言うんなら、諦めるしかないけどまだ値段も出ていないところもあるのに諦めきれないよ。ましてや私たちのあとから家を建てようと考えた人たちにあのあいている角地が決まっちゃったら悔しいっしょ?」 |
| 建夫: |
「そうだよな・・・やっぱり角地のほうが土地も有効に使えるし、いいよな・・・」 |
建代のこだわりに同意はしてみたもののどこか不安をぬぐえない建夫だった。それに反して建代のほうは、どこか自信に満ち溢れた顔をしていたのだった。そして翌日・・・
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| 建夫: |
「すみません、伊藤さんとお約束をしている館山と申しますが・・・」 |
| 受付: |
「少々お待ちください。」 |
| 伊藤: |
「あ、館山さん、いらっしゃいませ。」 |
| 建夫: |
「こんにちは。早速昨日の件についてお聞きしたいんですけど・・・」 |
| 伊藤: |
「はい。色々と調べてみましたら、メインストリートに面しているこの土地が、現在整地中でございましてもうまもなく販売できる状態になるということでした。」 |
| 建夫: |
「まもなくって、具体的には?」 |
| 伊藤: |
「1ヶ月もかかりません。多分再来週あたりには・・・」 |
| 建夫: |
「んで、値段は決まってるの?」 |
| 伊藤: |
「はい、つい先ほど上司と相談して決まりました。」 |
| 建夫: |
「そんでいくら?」 |
| 伊藤: |
「坪当たり20万円の60坪で1200万円です。」 |
| 建夫: |
「そんじゃあ昨日見せてもらった角地じゃない土地と比べて広いし値段もそんなに変わらないねすね。」 |
| 伊藤: |
「できれば私どもと致しましてもぜひとも館山さんにお買い求めいただきたいなとは思っているものですから・・・がんばってみました。土地が広くて安い理由はまっすぐに整地されないで少し斜めになっているんです。その分、少し他の土地よりも広めになっているんです。」 |
| 建夫: |
「なおいいんじゃないですか?」 |
| 建代: |
「やっぱりね。」 |
| 建夫: |
「ん?何だ、建代?」 |
| 建代: |
「どこかしら伊藤さんの昨日の表情はおかしいなと思ったら、やっぱりこんな隠し技を持っていたんですね?」 |
| 伊藤: |
「いえいえ、隠し技なんて・・・僕も営業マンですから早めに売りさばかなければならないと上から言われている土地を最初に薦める習性がついてしまっているんですね。黙っていても売れてしまう角地は薦めなくてもいいっていうことですね。」 |
| 建代: |
「住宅雑誌に書いてあったのを読んで覚えていましたよ。土地については十分時間をかけて慎重に選ぶようにって!」 |
| 建夫: |
「へえ!建代ってすごいね!」 |
| 伊藤: |
「はい、私も参りました!早速現場を見てみましょう。」 |
そして、3人は現場へ出かけた。
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| 建夫: |
「へえ・・・結構60坪って言っても広いもんですね。」 |
| 建代: |
「しかも他の場所よりこの土地だけ高く盛り上がっているわよ!」 |
| 建夫: |
「いいんじゃない?なかなか!」 |
| 建代: |
「もしもこの場所に決めたとしたらこの土地の中のどの辺にどういう向きで家が立つんですか?」 |
| 伊藤: |
「そうですね、この土地は北西と北東の両面に面していますので北西側に面した所に玄関でしょうね。反対の南東側を空けて庭にするのが良いでしょう。駐車スペースは南西側ですね。土地が高く盛り上がっておりますので歩道から玄関までは階段を数段作ってその両脇には花壇なんかがあるといいですね。」 |
| 建代: |
「へぇ〜!伊藤さん、よくそこまで想像できますね!」 |
| 伊藤: |
「これも習性ってやつですよ。」 |
| 建夫: |
「ところで実際の家の広さはどのくらいになるのでしょうか?」 |
| 伊藤: |
「そうですね・・・以前打ち合わせさせていただいたときに建物の予算が2000万円くらいになると申し上げたと思います。実際に、土地がここで決まれば1200万円ですから、以前立てた予算と同じなので2000万円の家ということになります。1、2階の間取りをほぼ同じにすることが同じ広さでも安く建物を作ることができますのでその方式を取り入れますと、1、2階合計の床面積でおよそ40坪くらいになると思います。」 |
| 建代: |
「それって広いの?狭いの?」 |
| 伊藤: |
「一般的な二世帯住宅の広さではないかと思いますよ。」 |
| 建夫: |
「なんかとっても現実的になってきたね。」 |