| 建夫: |
「おい、建代、今度我が館山家の家を建てた経緯がインターネット上の連載物語として掲載されることになったぞ。」 |
| 建代: |
「あぁ、そう。」 |
| 建夫: |
「あぁ、そう、とは何だよ。本当にいつも建代は無関心なフリをするんだから。」 |
| 建代: |
「べつに・・・・・・」 |
| 建夫: |
「ほら、またっ。『べつに』の後の『・・・・・・』はやめろよ。」 |
| 建代: |
「・・・・・・」 |
| 建夫: |
「もういいよ。俺一人で考えるから。」 |
| 建代: |
「なーに言ってんの?建夫1人でそんなのできる訳ないしょ?」 |
| 建夫: |
「お?やっと協力してくれる気になった?」 |
| 建代: |
「違うって。建夫1人に任せてたら何書かれるか分かんないから私がすべてチェックするから。まぁ、建夫が作家で私が編集社の担当者ってとこかな?」 |
| 建夫: |
「じゃあ俺のほうが立場が上なんだべや。そうだべ?」 |
| 建代: |
「違う違う。建夫は売れない駆け出しの作家だから私が面倒を見てやってるっていうとこ。」 |
| 建夫: |
「何だよ、それ?」 |
| 建代: |
「いいからいいから、早速はじめましょ。」 |
| 建夫: |
「よし、時間の設定は・・・・・・うーん、やっぱり去年の4月だな。」 |
| 建代: |
「じゃあ、1年前に逆戻りーーーーーーっ!」 |
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時は平成12年4月。ようやく札幌にも春の陽気が訪れ、雪もほとんど無くなってきた。
この頃館山家は札幌市東区のあるアパートに4人で暮らしていた。また、じじとばばは同じく館山家に近い東区の借家に住んで25年になる。
そんなある夜・・・
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| 建夫: |
「おい、最近太郎も保育園で年長さんになったせいか少し言葉遣いも変わってきたな。」 |
| 建代: |
「えー、そうかな?うーん、そう言われるとちょっと言葉遣いが男の子っぽくなってきたかもね。あっ、建夫がよく言ってる「なんまら」とか「・・・だべや」とか最近言うかも知んない」 |
| 建夫: |
「おお、そうか。やっぱり親の影響って少なからずあるもんだなあ。」 |
| 建代: |
「でも私にとってはあんまりいい影響じゃないと思うんだけど・・・まあしょうがないか?」 |
| 建夫: |
「年長といえば来年はもう小学生だもんな・・・。ところでどこの小学校なんだ?」 |
| 建代: |
「知らなーい。そういえば『ケン』って今1年生だよね。ゴリさんに聞いてみたら?」 |
ゴリさん一家とは館山家といつも親しくしてくれている家族である。当時1年生の『ケン』と4歳の『さっちゃん』の一男一女がいる。ゴリさんと奥さん(通称『きっこちゃん』)は、建夫と同い年だ。
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| 建代: |
「トゥルルルルルルル・・・・・・ガチャッ。あっもしもし、おねーちゃん?建代です。」 |
| きっこちゃん: |
「あぁ、建代ちゃん、どうしたの?」 |
| 建代: |
「あのーケンって今一年生だよね?それで今通ってる小学校っていつ頃決まったのかなあなんてふと今建夫と話してて気になったもんだからさー。」 |
| きっこちゃん: |
「あっ、そうなの?うーん、いつ頃だったかなー。確か7月頃にはがきが来てたような気がするんだけど・・・。」 |
・・・・・・・・中略(いつもこの二人は電話が始まるとなかなか終わらない)・・・・・・・
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| 建代: |
「うん、じゃあね。・・・・・・ガチャッ」 |
| 建夫: |
「どうだった?」 |
| 建代: |
「うん、7月頃にはがきで通知が来たって言ってたけど・・・」 |
| 建夫: |
「そうか、7月か。でも小学校入学してから転校ってのもかわいそうだよな。」 |
| 建代: |
「うん。いつまでもこのアパートって訳にもいかないよねー。」 |
| 建夫: |
「・・・・・・」 |
| 建代: |
「・・・・・・」 |
| 建夫: |
「・・・・・・ぷっ・・・ぷぷぷぷぷぷ。」 |
| 建代: |
「・・・・・・ぷぷぷぷぷぷ・・・・・・」 |
| 建夫: |
「何だよ、何笑ってんのよ?」 |
| 建代: |
「そっちこそ何笑ってるのさぁ?」 |
| 建夫: |
「いや、だってきっと今同じこと考えてるなって分かるんだわぁ。」 |
| 建代: |
「何?そうなの?ひょっとして建夫も?」 |
| 建夫: |
「うん。」 |
| 二人 |
「はっはっはっはっはっはっは。」 |
| 建代: |
「建てようか?」 |
| 建夫: |
「建てるべ。」 |
そうして館山一家はあっさりと家を建てる決心をしました。
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| 建代: |
「ね、私さぁ、提案があるんだけど。」 |
| 建夫: |
「ん?何?」 |
| 建代: |
「家を新築したらさぁ、じじとばばたちと一緒に二世帯で住むってのはどうかな?」 |
| 建夫: |
「えっ?」 |
| 建代: |
「だめかなぁ?」 |
| 建夫: |
「・・・・・・・・・・・・少し考えさせてくれ・・・・・・・・・・・・。」 |
| 建代: |
「何か問題あるの?」 |
| 建夫: |
「いや、問題はそれほど大きなもんでもないんだけど・・・むしろそうしたほうが建代も何かと体力的にも楽だし何より気分的にずっといいんじゃないか、とは思うよ。」 |
| 建代: |
「うん、そうだよね?それで?」 |
| 建夫: |
「問題はうちの両親なんだよ。実家は代々農家だし両親とも考え方が古いってことは建代も知ってるべ?しかも俺は農家の長男だべ?・・・んー、やっぱ納得するとは思えんよなぁ」 |
| 建代: |
「・・・・・・」 |
| 建夫: |
「でもこれは俺の親の問題ではない。俺自身の問題なんだから、親がどうこうというより自分で結論を出すよ。その結果を報告するだけにするさ。」 |
| 建代: |
「それでいいの?」 |
| 建夫: |
「いいに決まってるべや。俺はいつでもそうしてきたんだから。その代わりその責任は俺にすべてあると思ってるよ。」 |
| 建代: |
「そう?」 |
| 建夫: |
「うん、そうするよ。それでいこう。」 |